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2009年1月28日 (水)

抵当権に基づく返還請求権は認められるか?

「担保権者に占有を移さないこと(非占有)を本質とする抵当権には、返還請求権が認められない」と考えるべきです。

<関連判例>

平成11年11月24日判決(民集53巻8号1899頁。抵当権者が所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使できるとした事例。傍論にて抵当権に基づく妨害排除請求も認めた。)、平成17年3月10日判決(民集59巻2号356頁。占有権原を有する者に対する抵当権に基づく妨害排除請求を認めた事例)があります。

山本和彦「物権的請求権」『民法の争点』(有斐閣)90頁では、「抵当権は非占有担保権であるので、原則として妨害排除・予防請求権のみが問題となる」、ただし、所有者が抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には「例外的に返還請求権が発生する」(前掲平成17年判決)としています。

ただし、平成17年判決は「妨害排除請求の行使」として抵当権者が自己への抵当不動産の明渡しができるとしており、また、同判決には「返還請求」という文言はでてきていません。したがって、同判決は妨害を排除する方法の一つとして明渡しができるとしたにすぎないと言えます。

実質的には返還請求なのでしょうが、やはり抵当権の非占有担保権としての性質を考えると、抵当権に基づく返還請求権は認められないと考えるべきではないでしょうか。

<上記の考えに対して考えられる反論>

妨害排除請求が認められて抵当権者に管理占有の権能が認められたならば、返還請求権を構成することができるはず。

<参考文献>

道垣内弘人『担保物権法第3版』(有斐閣)180頁以下

内田貴『民法Ⅲ第3版』(東京大学出版会)435頁以下、443頁以下

<地役権に基づく返還請求権は認められるか?>

承役地を第三者が不法に占有する場合であっても、地役権者は承役地の占有権能を有しないので、地役権に基づく返還請求権はできないと考えられています。ただ、抵当権と同様に例外を認める見解(山本・前掲90頁)があります。

PS:私は8年前に執行妨害廃除(抵当権侵害における「抵当権に基づく物権的請求権」や「民事執行・保全法の適用場面」)について研究しました。

代位請求における被保全債権は何?抵当権者による管理占有はどうなる?など、興味深い問題が山積みです!

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