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2008年7月19日 (土)

訴え提起につき同調しない入会権者がいる場合の入会権確認訴訟 (判決全文あり)

第三者に対して土地が入会地であることの確認の訴えを提起する場合において、入会集団の構成員の一部が当該訴えの提起に同調しなかったため、その構成員も被告に加えて訴えを提起したという事件です。

最高裁は、平成20年7月17日に次のように判示しています。

特定の土地が入会地であることの確認を求める訴えは、「入会集団の構成員全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要する固有必要的共同訴訟である。そして、入会集団の構成員のうちに入会権の確認を求める訴えを提起することに同調しない者がいる場合であっても、入会権の存否について争いのあるときは、民事訴訟を通じてこれを確定する必要があることは否定することができず、入会権の存在を主張する構成員の訴権は保護されなければならない。そこで、入会集団の構成員のうちに入会権確認の訴えを提起することに同調しない者がいる場合には、入会権の存在を主張する構成員が原告となり、同訴えを提起することに同調しない者を被告に加えて、同訴えを提起することも許されるものと解するのが相当である。このような訴えの提起を認めて、判決の効力を入会集団の構成員全員に及ぼしても、構成員全員が訴訟の当事者として関与するのであるから、構成員の利益が害されることはないというべきである。」

「したがって、特定の土地が入会地であるのか第三者の所有地であるのかについて争いがあり、入会集団の一部の構成員が、当該第三者を被告として、訴訟によって当該土地が入会地であることの確認を求めたいと考えた場合において、訴えの提起に同調しない構成員がいるために構成員全員で訴えを提起することができないときは、上記一部の構成員は、訴えの提起に同調しない構成員も被告に加え、構成員全員が訴訟当事者となる形式で当該土地が入会地であること、すなわち、入会集団の構成員全員が当該土地について入会権を有することの確認を求める訴えを提起することが許され、構成員全員による訴えの提起ではないことを理由に当事者適格を否定されることはないというべきである。」

<コメント>

本件は、固有必要的共同訴訟とされる訴えの提起について同調しない者がいる場合にどう扱うか、という争点に関する事件です。

 境界確定の訴えにつき、判例(最判11・11・9民集53・8・1421、民訴判例百選109事件)は、「裁判所は当事者の主張に拘束されないで、自らその正当と認めるところに従って境界を定める」ことができ、当事者の主張しない境界線を確定しても民訴法246条に反しないという特質に照らせば、共有者の全員が原告又は被告いずれの立場で当事者として訴訟に関与していれば足り、提訴に賛成する共有者は、隣地所有者と共に非同調者を被告として訴えを提起できるとしていました。

すなわち、平成11年判決は、境界確定訴訟の形式的形成訴訟としての特質(処分権主義は適用されないという特質)を、非同調者を被告とすることへの許容根拠としているように思われます。

これに対し本件訴訟は形式的形成訴訟ではありません。なぜなら、当該土地が入会地であるか否か(入会集団の構成員全員が当該土地について入会権を有するか否か)は裁判所の裁量によって決定されるものではなく、そもそも、本件訴訟は確認訴訟であるから、形成訴訟(判決の確定によってはじめて権利・法律関係の変動が生じる訴訟)ではないからです。

本件判決と平成11年判決との関係は明らかではありませんが、本件判決は少なくとも、形式的形成訴訟ではない固有必要的共同訴訟においても、訴訟において権利・法律関係を確定する必要があるときには、共有者全員・構成員全員が当事者として関与している限り、非同調者を被告として訴え提起をすることが許される場合があることを示した言えます。

新司法試験の論文式試験においては、まず共有・総有の法的性質及び合一確定の必要性から固有必要的共同訴訟に該当するかを検討し、訴え提起に反対する者の利益・不利益を考慮しながら、紛争解決の必要性を判断して、当事者適格の有無を判断するとよいでしょう。

もちろん、事案の訴訟において既判力を生ずる訴訟物は何か、を考えることも忘れずに!

そう言えば、固有必要的共同訴訟おける一部の者から又は一部の者に対する訴えの取下げの効力、が問題になった事件もあったな~

では、遺産確認の訴えの場合はどうなるでしょう?(^_^)

<本件判決の全文(最高裁判所の判例検索システム)>

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36620&hanreiKbn=01

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