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2008年4月22日 (火)

「建物買取請求権」① 新司法試験論文式試験対策!

前回は借地借家法の改正について解説しましたが、その中で「建物買取請求権」というワードが出てきました。

そこで今回は、建物買取請求権を、新司法試験論文式試験対策として考えたいと思います。

(1)建物買取請求権(借地借家法13条・14条)とは

建物買取請求権とは、借地権の存続期間満了時(かつ更新しないとき)に、借地権者または建物を借地権者から譲り受けた第三者(以下、「借地権者等」という。)が借地権設定者に対して、建物を時価で買い取るように請求できる権利である。

※ 以後、わかりやすいように、借地権設定者を「(土地の)賃貸人」とする。

建物買取請求権は形成権であり、借地権者等が自己所有の建物の買取請求権を行使すると、賃貸人と借地権者等との間で当該建物の売買契約が成立する。その効果として行使時に建物所有権は賃貸人に移転し、借地権者等は賃貸人に対して売買代金請求権を取得する。

(2)建物買取請求権の民法上の争点

①建物買取請求権行使と同時履行の抗弁権・留置権

借地権者等が建物買取請求権を行使した後、借地権者等は同時履行の抗弁権あるいは留置権を理由に、買取代金の支払いがあるまで当該建物の引き渡しを拒めるとしても、当該建物の占有によりその敷地の明渡し請求を拒むことができるのか。

賃貸人(土地所有者)の土地明渡請求権は双務契約から生じたものとは言えないので同時履行の抗弁権が行使できるのか問題になる。

また、借地権者等(建物の売り主)の建物代金支払請求権は、建物から生じたものであって土地から生じたものとは言えないのではないか、それなのに留置権が行使できるのかという問題がある。

判例・通説は、代金の支払いを受けるまで建物を占有し、その敷地の明渡しも拒めるとしている。

建物買取請求権を認めた趣旨(建物取り壊しによる社会的経済的損失、借地権者等の保護)から、建物の引渡しを拒み、建物占有できる反射的効果として、その敷地についての明渡しも拒むことができるとしているようである。

なお当然であるが、借地権者等は賃貸人に対して敷地の明渡しを拒んでいる期間の地代相当額を不当利得として返還しなければならない。

②債務不履行と建物買取請求権

借地権者の債務不履行の場合に建物買取請求権は認められるのか。

建物買取請求権の規定は誠実な借地権者保護の規定であり、借地権者の債務不履行によって契約が解除された場合には、建物買取請求は認められない(最判昭35年2月9日)。

この判例は建物買取請求権の規定の趣旨から建物買取請求権を認めないとしているが、借地法が適用された事例である。

借地借家法13条では「借地権の存続期間が満了した場合」に建物買取請求ができるとなっているので、借地借家法が適用される事例における契約解除の場合には「条文の要件を満たさない」という理由も付け加えられるだろう。

次回は、「(3)建物買取請求権の民事訴訟法上の争点」について、書きたいと思います。

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