2008年7月 4日 (金)

最高裁決定!!第1の暴行と第2の暴行の間には断絶あり 第2の暴行に正当防衛認めず(決定全文あり)

被告人は甲から灰皿を投げつけられそれを避けながら甲を殴打した(第1の暴行)ところ、甲は倒れ後頭部を地面に打ち付けて意識を失ったように動かなくなった。さらに、被告人は意識を失ったことを認識しながら、甲に蹴るなど暴行(第2の暴行)を加え、第2の暴行により甲は肋骨骨折等の傷害を負わせた。そして甲は病院で死亡したが、この死因は第1の暴行によって生じたという事案です。

第1審判決は、防衛の程度を超えて甲を死に至らしめたとして、被告人には過剰防衛による傷害致死罪が成立するとしました。

被告が控訴を申し立てたところ、原判決は、第1の暴行には正当防衛が成立するが、第2の暴行の際には、甲の侵害はなく防衛の意思も認められず、正当防衛ないし過剰防衛は成立する余地はないとして、被告人には傷害罪が成立するとしました。

これに対して、被告人側は第1の暴行と第2の暴行を一体のものと評価すべきであって、第1の暴行について正当防衛が成立する以上、全体につき正当防衛を認めて無罪にすべきであるとして、上告しました。

平成20年6月25日、最高裁は決定で次のように述べて上告を棄却しました。

「第1暴行により転倒した甲が、被告人に対し更なる侵害行為に出る可能性はなかったのであり、被告人は、そのことを認識した上で、専ら攻撃の意思に基づいて第2暴行に及んでいるのであるから、第2暴行が正当防衛の要件を満たさないことは明らかである。そして、両暴行は、時間的、場所的には連続しているものの、甲による侵害の継続性及び被告人の防衛の意思の有無という点で、明らかに性質を異にし、被告人が前記発言をした上で抵抗不能の状態にある甲に対して相当に激しい態様の第2暴行に及んでいることにもかんがみると、その間には断絶があるというべきであって、急迫不正の侵害に対して反撃を継続するうちに、その反撃が量的に過剰になったものとは認められない。そうすると、両暴行を全体的に考察して、1個の過剰防衛の成立を認めるのは相当でなく、正当防衛に当たる第1暴行については、罪に問うことはできないが、第2暴行については、正当防衛はもとより過剰防衛を論ずる余地もないのであって、これにより甲に負わせた傷害につき、被告人は傷害罪の責任を負うというべきである」

<コメント>

正当防衛の成否に関連して、第1の暴行と第2の暴行を一体のものとして考えるのか、それとも分断して考えるのかについて、参考となる事案ですね。

本決定は両暴行の時間的・場所的連続性を認めながらも、侵害の継続性や防衛の意思の有無、第2の暴行の態様の点から、両暴行の間には断絶があるとしています。

第1の暴行と第2の暴行を一体として考えるのか否かという視点は、正当防衛のほか、因果関係・共犯でも問題になり、死因がどちらの暴行から生じたのかわからない事案、途中から暴行に参加したという事案などでも重要な視点になりますので、事案に応じて判断できるようにしておきたいですね。

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2008年7月 3日 (木)

最高裁決定!!個人的メモでも証拠開示命令の対象!?(決定全文あり)

 「原々決定が開示を命じた「本件保護状況ないし採尿状況に関する記載のある警察官A作成のメモ」(以下「本件メモ」という。)は、同警察官が私費で購入してだれからも指示されることなく心覚えのために使用しているノートに記載されたものであって、個人的メモであり、最高裁平成19年(し)第424号同年12月25日第三小法廷決定・刑集61巻9号895頁にいう証拠開示の対象となる備忘録には当たらないから、その開示を命じた原々決定を是認した原決定は違法である」ことを理由とした抗告に対して、平成20年6月25日、最高裁は、次のように判示しました。

犯罪捜査に当たった警察官が犯罪捜査規範13条に基づき作成した備忘録であって、捜査の経過その他参考となるべき事項が記録され、捜査機関において保管されている書面は、当該事件の公判審理において、当該捜査状況に関する証拠調べが行われる場合、証拠開示の対象となり得るものと解するのが相当である(前記第三小法廷決定参照)。そして、警察官が捜査の過程で作成し保管するメモが証拠開示命令の対象となるものであるか否かの判断は、裁判所が行うべきものであるから、裁判所は、その判断をするために必要があると認めるときは、検察官に対し、同メモの提示を命ずることができるというべきである。これを本件について見るに、本件メモは、本件捜査等の過程で作成されたもので警察官によって保管されているというのであるから、証拠開示命令の対象となる備忘録に該当する可能性があることは否定することができないのであり、原々審が検察官に対し本件メモの提示を命じたことは相当である。検察官がこの提示命令に応じなかった本件事実関係の下においては、本件メモの開示を命じた原々決定は、違法ということはできない。」

<コメント>

実は、本決定では個人的メモが証拠開示命令の対象となるかについては述べていません。

本件メモが証拠開示命令の対象となるかについて、最決平成19年12月25日の示した規範にあてはめて、本件メモが証拠開示命令の対象となりうるとしただけです。

本件メモが個人的メモの域を超えうると考えたのかもしれません。

タイトルに書いておいて申し訳ないのですが、本件メモが個人的メモに該当するか否かは重要ではないのでしょう(>_<)

証拠開示命令の対象となるか否かの判断基準やその基準を導く理由が重要ですtennis

まずは、平成19年12月25日の最決をしっかり読んでからですな~

以下のリンクは判例検索システム(最高裁)です。

最決平成20年6月25日(本決定)

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36535&hanreiKbn=01

最決平成19年12月25日(参照決定)

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=35535&hanreiKbn=01

刑事訴訟法の証拠開示命令、民事訴訟法の文書提出命令、会社法の会計帳簿等閲覧謄写請求など、攻撃防御を有用なものとするため又は適切に権利を行使するため、相手方又は第三者に対する書類の開示請求、事前の証拠収集手続きは重要視されてきています。

これらの制度がうまく機能すれば、訴訟経済上のメリットも大きいでしょう。

新司法試験論文式試験において、何度問われてもおかしくない分野です。

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2008年7月 2日 (水)

平成20年度11月期司法修習生採用選考概要(最高裁)

最高裁判所のホームページに「平成20年度11月期司法修習生採用選考概要」が掲載されています。

http://www.courts.go.jp/saikosai/sihokensyujo/saiyo_senkou_20.html

新司法試験の合格発表までの予定や発表からの予定を立てるためにも、一度目を通しておきましょう。

司法修習生の給与は、月額20万4,200円(平成20年4月1日現在)に手当がつくようですよ。

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最高裁判決!!民法708条の趣旨から損益相殺不可とした (判決全文あり)

 米国債を購入すれば高配当が受けられるなどとして、その購入資金を騙取したYに対して、その被害者Xらが不法行為に基づく損害賠償請求をした事案において、平成20年6月24日、最高裁は、実際には米国債を購入していないのにもかかわらず配当金名目でYからXらに交付された金銭について、損益相殺等の対象として損害額から控除することは民法708条の趣旨に反するものとして許されないとしました。

<判旨> 破棄差戻し

社会の倫理,道徳に反する醜悪な行為(以下「反倫理的行為」という。)に該当する不法行為の被害者が、これによって損害を被るとともに、当該反倫理的行為に係る給付を受けて利益を得た場合には、同利益については、加害者からの不当利得返還請求が許されないだけでなく、被害者からの不法行為に基づく損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として被害者の損害額から控除することも許されないものというべきである(最高裁平成19年(受)第569号同20年6月10日第三小法廷判決参照)。

 前記事実関係によれば,本件詐欺が反倫理的行為に該当することは明らかであるところ、Yは、真実は本件各騙取金で米国債を購入していないにもかかわらず、あたかもこれを購入して配当金を得たかのように装い、Xらに対し、本件各仮装配当金を交付したというのであるから、本件各仮装配当金の交付は、専ら、XらをしてYが米国債を購入しているものと誤信させることにより、本件詐欺を実行し、その発覚を防ぐための手段にほかならないというべきである。

 そうすると、本件各仮装配当金の交付によってXらが得た利益は、不法原因給付によって生じたものというべきであり、本件損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として本件各騙取金の額から本件各仮装配当金の額を控除することは許されないものというべきである」

<コメント>

 損害賠償請求においては過失相殺や損益相殺がなされることが多いので、平成20年6月10日判決(本ブログで紹介済み)及び本件判決が実務や他の事件における下級審判決において与える影響は大きいでしょう。

 最高裁判所の判例検索システムに、本件判決の全文が掲載されています。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36505&hanreiKbn=01

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2008年7月 1日 (火)

Adobe Acrobat 9 発売!

7月11日、PDFの作成・編集・管理ソフト、「Adobe Acrobat 9」が発売されますpc

さらに便利になって最新版が登場!

PDFは法務文書の管理には欠かせません。

8年前から「Adobe Acrobat」を愛用していますscissors

<Adobe Acrobatファミリーのホームページ>

http://www.adobe.com/jp/products/acrobat/

<法務プロフェッショナル向けソリューションのページ>

http://www.adobe.com/jp/products/acrobat/solutions/legal/

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2008年6月30日 (月)

「法科大学院徹底ガイド(2009年度版)」発行!

「法科大学院徹底ガイド(2009年度版)」が発行されました。

新司法試験最新分析ありsearch

法科大学院徹底ガイド(2009年度版)

<Myホームページ「法科大学院・新司法試験・新司法修習」>

http://www.tamuramakoto.net/cate3-sihousiken.html

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2008年6月29日 (日)

奨学金に税金はかかるのか?

日本学生支援機構などからの(貸与)奨学金は返済が前提で借りているだけですから、収入ではなく、所得税はかかりません。

では、学校から受け取る返済不要の給付奨学金は?

無償でもらっていることを考えれば贈与税の対象になりそうです。

しかし、そもそも贈与税は個人から個人への財産の無償譲渡をその対象としており、個人が法人から財産をもらったときは贈与税ではなく、所得税の問題となります。

学校は法人でしょうから所得税の問題となりますが、「 学資に充てるため給付される金品」は非課税所得ですので、奨学金が学資に充てるために適切な範囲であれば、所得税はかからないということになりますね。

ただし、法人ではない団体や個人から奨学金給付を受ける場合には、贈与税の対象となる可能性があります。

結論:奨学金には原則として税金はかからない。

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2008年6月28日 (土)

ついに「新司法試験短答式問題と解説(平成20年度)」発行!

法学書院より「新司法試験短答式問題と解説(平成20年度)」(中央大学真法会)が発行されます。

新司法試験短答式問題と解説(平成20年度)

<Myホームページ「法科大学院・新司法試験・新司法修習」>

http://www.tamuramakoto.net/cate3-sihousiken.html

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2008年6月27日 (金)

「我妻・有泉コンメンタール民法第2版」発行!

日本評論社より「我妻・有泉コンメンタール民法第2版」が発行されました。

新法人制度への改正に対応し、新判例を収録したようです。

我妻・有泉コンメンタール民法第2版

<日本評論社のホームページ>

http://www.nippyo.co.jp/shop/slide.cgi?No=3349

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2008年6月26日 (木)

ふるさと納税制度!!

ふるさと納税制度は、都道府県・市区町村に対する寄附金を税額控除することで、実質的にふるさとへ納税する制度です。

この制度は、高校までは産まれた町で過ごし大学・就職は都市部で過ごすという方が多い現代において、自分を育ててくれたふるさとに恩返しをしたいという気持ちを実現させてくれます。

都道府県・市区町村に対する寄附金のうち、5,000円を超える部分について、個人住民税所得割の概ね1割を上限として、所得税と合わせて全額が控除されます。

例えば給与収入700万円で夫婦子2人のケースで住民税所得割額293,500円の場合、自分を育ててくれた町に4万円を寄付すれば、5,000円だけの税負担でよいということになります。

このふるさと納税制度に対しては、「行政サービスを受ける住民が税を負担する受益者負担の原則の観点から逸脱する(ふるさと納税を利用する人間は利用しない人間より安い納税額で居住地の住民サービスを受けられることになる)」という批判もあるようです。しかし、ふるさとはそこで産まれ過ごした者に対して出産前の妊婦健診から始まり医療費・教育費等を税金で負担しているのであり、その者が成人になって所得を得ているのはそのふるさとのおかげであるといえます。住民税には所得に応じて計算される所得割があることからすれば、個人住民税所得割の概ね1割を上限としてしている寄付金税額控除は、受益者負担の原則には反せず、理にかなったものではないでしょうか。

「受益者負担の原則」は、新司法試験の選択科目「租税法」に関連しますねhappy01

<総務省のホームページ>

http://www.soumu.go.jp/menu_00/important/080430_2_kojin.html

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2008年6月25日 (水)

「行政手続法・行政不服審査法第2版」発行!

日本評論社より「行政手続法・行政不服審査法第2版」(室井力・芝池義一・浜川清)が発行されました!

行政手続法・行政不服審査法第2版

<日本評論社のホームページ>

http://www.nippyo.co.jp/shop/slide.cgi?No=3346

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2008年6月24日 (火)

「論文基本問題 憲法120選 第2版補訂版」(新保義隆・Wセミナー)発行!

Wセミナーより「論文基本問題 憲法120選 第2版補訂版」(新保義隆)が発行されました。

論文基本問題 憲法120選 第2版補訂版

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2008年6月23日 (月)

「芦部憲法徹底解析講座」(Wセミナー・羽広先生)開講!

本日より、羽広政男先生による「芦部憲法徹底解析講座」が開講されます。

芦部憲法第4版をテキストとした講座です。

<Wセミナーのホームページ>

http://www.w-seminar.co.jp/shinshihou/koza/2009/ashibe_kenpou.html

憲法第4版 芦部信喜・高橋和之

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2008年6月22日 (日)

「2008年新司法試験分析講義」ネット配信開始!(伊藤塾)

本日6月22日午後6時より「2008年新司法試験分析講義」(伊藤塾)のインターネット配信が開始されます。

ネット上でも伊藤塾e-shopにて申込みができます。

<伊藤塾のホームページ>

http://www.itojuku.co.jp/41shinshihou/openschool/11751.html

<Myホームページ「法科大学院・新司法試験・新司法修習」>

http://www.tamuramakoto.net/cate3-sihousiken.html

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2008年6月21日 (土)

「2009年 新司法試験答案練習会 リベンジ割」(Wセミナー)

Wセミナーにおいて、2008年新司法試験短答式試験受験者は、「2009年新司法試験プレ短答・短答式答案練習会」「2009年新司法試験プレ論文・論文式答案練習会」の受講料が、15%引きになります。

<Wセミナーのホームページ>

http://www.w-seminar.co.jp/shinshihou/koza/2009/2009_touan_re.html

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«「JUNGLE DANCE」(谷村奈南・現役法学部生)<PV無料視聴>